ムーヴィーレヴューと、ささやかなネコ

毎週のようにシネコンに通う筆者<りのづか>による、どちらかというと辛口な映画評論。ネタバレにはある程度は配慮してますけど、ある程度しか配慮していません。ネコ画像のオマケ付き。2007年4月からべつやくメソッドを導入してみました。

20070131

index 2007年1月

20070128

幸せのちから The Pursuit of Happyness

オススメ度: A-最初に断っておきますが、
原題にある "Happyness" は、
タイトルとしてはこれで合ってますので。
ほんとは、"Happiness" が正しい綴りですが。

アクションやサスペンスではないのに、
観ている間、何故かワクワクしました。
それでも、ちょっと期待しすぎたかな、と。
面白かったし、隙はないし、
ラストシーンもジワーッと来ましたけど、
もっとガッツリ来てほしかった。
昨年度のアカデミー作品賞『クラッシュ』くらい泣きたかった。

そういえば、
主人公クリス・ガードナー(byウィル・スミスさん)の妻役の人、
『クラッシュ』にも出てたタンディ・ニュートンさんだった。

ちなみに、
本作の予告編に感化されて、
ルービックキューブを始めました。
私もなんとか6面そろえられるようになりましたけど、
劇中のクリスは、当然攻略本なんかも無しで、
自力で解いてますから、スゴすぎ。
本編を観て、始めたくなる人もいるかも。

あ、なんか否定的なコメントも並んでしまいましたけど、
かなりオススメですよ。

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マリー・アントワネット Marie Antoinette

オススメ度: C+傾国の代表選手のように思われているマリー・アントワネットですが、
これを観ると、フツウの女の子だな、と思った。
あ、映画としてもフツウ。
映像的には綺麗なんだけど、
そこはかとなくおかしい、といったところ。
例えば、
「英国への圧力を...」とか「アメリカからの援助要請が...」
なんて台詞を、フランス人が英語でしている、
というところとか。(アメリカ映画なので、当たり前ですか)

もう一押し、欲しかったかな。
期待しすぎました。すいません。

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20070121

僕は妹に恋をする (PG12)

オススメ度: B-フツウに鑑賞したんですが、左写真右上のポストカードがもらえました(私が観た劇場のみのサービスの可能性もありますが)。ポスタと同じデザイン。左上は前売り券の半券、下は前売り特典の「シロツメクサ・チャーム」。

中高生風女子の観客が多かった。
多かったというか、ほとんどがそうだったっぽい。
さすが松本潤さん、といったところか。

頼(by松本潤さん)と郁(by榮倉奈々さん)が
こんなに超両思いとは知らなかった。
ちょっと物語の展開は駆け足過ぎるか。
多分、原作のいいシーンを継ぎ接ぎしてるんだろうな。
でも、演出が胸にキュンキュン来るので、
その感じだけでも見る価値ある。

めちゃくちゃ長い長回しの告白シーンは、必見。
切なくて息が詰まりそうだった。
そして、そのシーンを演じきった主演二人に拍手。
この長回しもそうですが、
時空の使い方が好みのタイプな演出。
いろいろ考えさせられます。
かなり静かな映画なので、
ファスナがいっぱい付いた服を着ていかないようにしましょう。

ロマンチストには、お勧めです。
リアリストは、鼻で笑うと思う。
リアルで年齢の近い異性の兄弟姉妹がいる人は、
複雑な気分になるか、
拒絶反応を示すかのどちらか。

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ところで、矢野の「本当に好きな人」って、頼?
ちょっとパンフレットを立ち読みしたら、
頼と矢野の二人がケータイで写真とってるカットが載ってて、
その撮った写真を矢野が満足げに観ているシーンはあったものの、
撮るシーンは本編では使われなかったようで。

純粋に、兄妹二人の心の動きにフォーカスしたかった、
ということか。
そのために、余計なシーンはなるべく排除、と。

...つーか、頼、モテモテじゃん。
いいなあ。

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それでもボクはやってない

オススメ度: A予告編は、いかにもコメディみたいなノリで作られてますけど、
そういうのを期待していくと違います。
でも、面白い。これぞ映画、って感じ。
演出に隙がないから、浸れるし。
隙があると「作られた映像だ」ということを意識させられて、
現実に引き戻されちゃうんですよね。
あれは興醒め。

静かで、時間と空間を広く使って、
観客に考える時間を与えながらも、
その「考え」が監督の意図に近いところにもっていかれる。
素直に観れば、そうなるはず。

また主演の加瀬亮さんが、いいですね。
主人公の金子徹平は「26歳フリーター」って設定ですけど、
すっごいそれっぽい。その辺にいそう。
こういう、その辺にいそうなキャラを演じるのは、
ヒーローを演じるより難しいんじゃなかろうか。
そして、こんなキャラを主人公に据えるのも、
難しいですよね。

予告を何度か観た人は、
最後の判決のシーンまでに出てきてないカットの存在に気づいて、
主文の内容が予測できてしまうでしょう。
そこが残念でした。

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瀬戸朝香さん演じる弁護士が、金子を弁護するんですけど、
彼女、最初は金子に対して懐疑的なんですよ。
その態度が次第に変化して、
無罪を勝ち取るために尽力する姿には、
ちょっとグッと来ました。

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20070114

ラッキーナンバー7 Lucky Number Slevin (R15)

オススメ度: Bブルース・ウィリスさんは
「最強の殺し屋」って言う肩書きが好きなんでしょうか?
『隣のヒットマン』然り。

あ、本作の主人公は、ジョシュ・ハートネットさんasスレヴン。
仕事をクビになり、女にも逃げられ、
友人ニックを頼ってニューヨークにやってきた朝から、
ギャングに(人違いで)呼び出し喰らって、
大変なことに巻き込まれていく。
そんな話。
ていうか、こんな「冴えない男」みたいな役なのに、
カッコいいなあ。

わりとベタなコメディっぽい展開から、
真相が明るみになるにつれ、どんどん血生臭くなっていきます。
いいですね。このノリ。
殺し方とかも、徹底してますね。

前半で、「ちょっとベタ過ぎない?」
ってシーンも、ちゃんと後半への伏線(?)で、
種明かしの段になって「なるほどね」って感じでした。

勘のいい人は、
正体の明かされていない人物が誰なのか、
早い段階で気づくだろうな。
私は、わりと遅くまで確信できませんでしたが。
何となく疑ってはいたものの、
確信したのは、折り返し地点的シーンにて。

なんか、ちょっとでもネタバレっぽいことを書くと、
ここを読んでから観に行った人の顰蹙を買ってしまいそうなので、
これ以上書かないでおこう。

ジョシュ・ハートネット、ブルース・ウィリス、
モーガン・フリーマン、ベン・キングズレイ、
ルーシー・リュー、スタンレー・トゥッチ
この豪華キャストのうち、誰か一人でも好きなら、
とりあえず、観に行くべし。
あと、推理小説好きの人も、是非。

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20070105

鉄コン筋クリート Tekkonkinkreet

オススメ度: B-本来声優でない役者さんだと、
中の人が透けて見える様に感じることがよくありますが、
本作は、全くそんな弊害は無し。
二宮君、実はすごいんじゃない?と思った。

映像の作りとしては、すごいと言わざるを得ません。
一見、雑なようにも見えますが、
緻密さを積み重ねて作られてることが解ります。

ただ正直ね、密度が濃過ぎる。
原作を読んでないせいか、密度についていけない。
不快でないレベルですがね。
過剰なほどにディテールを描き込む手法は、
『千と千尋の神隠し』にインスパイアされたのでしょうか?
いや、松本大洋氏のオリジナルをそのまま反映してるのでしょう。

ちなみに「宝町」の読みが「たからまち」になってるのは、
松本氏公認だそうです。

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ちょっと凹んだのは、
主人公クロの設定が、
『BLEACH』の黒崎一護と微妙にかぶってるな、ってこと。
名前からして微妙にかぶってるし。
なんか、流行ってるんでしょうか?
主人公の内面に強大かつ邪悪な力を内在させる手法。
別に、
どっちがパクってるとか、そういうことを問題にしたいわけではなくて、
単純に、なんか損した気分ですよね。
観る側としては、新鮮さが少なくて。
で、さらに言うと、
その辺の演出は、綺麗だったけど、
イマイチ響いてこなかったんですよね...。
私が不感症なだけでしょうか。

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シャーロットのおくりもの Charlotte's Web

オススメ度: B-映画の内容と全然関係ないんですけど、
私が観た上映回だけなのか、ピントが合ってなくて、
字幕も少しぼやけてたりして、
なんか、そんなくだらないことが気になったりしました。
上映するのも人間ですから、ミスもありますよね、たまには。

それは兎も角、いい話ですよ。
子供騙しだと断じるのは簡単ですけど、
いやいや、何を仰る、って感じ。
子供のような純粋な心で観ましょう。
そうすれば、きっと楽しいはず。

現実的な苦言を呈させていただけるなら、
ダコタ・ファニングさん演じる女の子に思いを寄せるクラスメイトは、
別にいなくてもストーリーは成り立ったんじゃないかな、
と思いました。

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というか、彼がいたせいで、
最後の表彰式のシーンが、
微妙にグダグダになっちゃった感があるんですよ。
ちょっと浮いてた、というか。
まあ、いいか。


エンディングの水彩風挿絵は、なかなか美麗でした。
構図も好みのタイプが多かったし。

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武士の一分

オススメ度: B木村拓哉さん主演ですが、
観ている間は木村拓哉さんであることを
それほど意識させられませんでした。
ちゃんと、役の中の人だな、と。

映画としては、解りやすいです。
明示されていない症状や、下心や、正体が、
何となく読める。
ただ、読めることが不快ではない。
そんなバランスですね。
笑いどころも解りやすいですから、
劇場内が、ちゃんとしたタイミングで笑いに沸く。

キムタク主演どうこうを別にして、
予告編を観て、カッコいいなと思った人は、
観て損はないと思います。

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原作の原題のままだと、展開がバレバレだから、
タイトル変えたんでしょうか。
あの演出なら、どっちでも良かった気がしますけど。
主人公の目が見えなくなったことは、
かなり早い段階で判りますからね。

果たし合いの申し込みの台詞には、
武士道を感じました。
相手が油断した隙をつく手もあったはずなのに、
あえて「盲人と侮るな」と言うあたり。

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